2 佐賀大学大学院 医学分子生命科学講座 免疫学分野1 鹿児島大学大学院 医歯学総合研究科 免疫学分野好酸球は寄生虫感染やアレルギー疾患などの 2 型免疫御応答を促進する。ごく最近、 我々は抑制性 C型レクチンレセプター Clec4a4を発現する免疫細胞の探索から、小腸粘膜固有層に存在し、寄生虫免疫応答を抑制する免疫抑制型 Clec4a4+好酸球(Clec4a4+Eos)を発見した。IL-27 は IL-27p28と EBI3 のヘテロダイマー構造を取り、IL-27Rα(WSX-1)と gp130 複合体によって認識されることで多彩な免疫応答に関与する。マイクロアレイ解析の結果から、Clec4a4+Eosは IL-27を高発現していることが示されたが、その機能は不明である。そこで本研究では、消化管における IL-27 発現細胞を探索すると共に、好酸球が発症に寄与するピーナッツアナフィラキシー(PA)モデルを用いて、IL-27 の機能解析をおこなった。IL-27p28-Venusレポーターマウスを用いて様々な組織における好酸球の IL-27 発現を確認したところ、消化管に存在する好酸球が IL-27を高発現していた。他方、肺や肝臓などの好酸球は IL-27を発現していなかった。先行研究を参考に、C57BL/6 系統でも安定的に発症する PAモデルを構築した。本モデルでは、ピーナッツ抽出物(PE)とコレラトキシンを経口投与することで感作し、大量の PEを腹腔投与することで PAを発症させる。PAモデルにおける IL-27 の機能を調べるために、Il27Ra-/-マウスを用いて PAモデルを施行した。PEを腹腔投与後に、直腸温低下と症状スコアで PAを評価したところ、野生型とIl27Ra-/-マウスの間に有意な差は認められなかった。一方、感作後のマウスから血清を採取し、ELISA法にて血清中の PE特異的 IgEを測定したところ、Il27Ra-/-マウスでは有意に PE特異的 IgE産生が低下していた。以上の結果から、腸管好酸球由来 IL-27 の機能は不明であるが、少なくとも IL-27シグナルは PE特異的 IgE産生を促進することが示唆された。○笠松 純 1 吉田 裕樹 2 原 博満 1 IL-27 シグナルはピーナッツ特異的 IgE 産生を促進する39P 009
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