第44回 阿蘇シンポジウム抄録集 2024
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片岡 圭亮慶應義塾大学 医学部血液内科/国立がん研究センター 研究所 分子腫瘍学分野1) Kataoka, K. et al.: Nat Genet, 47, 1304-1315, 2015.2) Kataoka, K. et al.: Nature, 534, 402-406, 2016.3) Kogure, Y. et al.: Blood, 139:(7), 967-982, 2022.4) Ito, Y. et al.: Cancer Res, In press. doi: 10.1158/0008-5472.CAN-24-0132.5) Kogure, Y. et al.: Blood, 143:(23), 2401-2413, 2024.17成熟リンパ系腫瘍は、様々な病型のB細胞性リンパ腫、T/NK細胞リンパ腫や多発性骨髄腫を含む不均一な疾患群である。我々は、多数の患者検体の遺伝子解析を通して、これらの腫瘍における遺伝子異常の全体像とそれに基づく分子病態の解明、さらには遺伝子異常の臨床的意義の確立を目指している。例えば、成人T細胞白血病リンパ腫(ATLL)は、HTLV-1を原因とするT細胞性腫瘍であるが、我々は全エクソン解析、RNAシーケンス、マイクロアレイによるコピー数解析やDNAメチル化解析を含む包括的な遺伝子解析を行い、PRKCB活性型変異、CTLA4::CD28融合遺伝子などの多数の新規異常を同定した1)。また、ATLLにおける低深度全ゲノム解析およびTCGAデータを用いたがん横断的解析を行い、ATLと12種類の主要な悪性腫瘍においてPD-L1 3′- UTRを標的とする構造異常を認め、PD-L1の恒常的活性化が引き起こされることを明らかにした2)。さらに、高深度全ゲノム解析を行い、アイソフォーム特異的なCIC機能喪失型変異やC末端切断を引き起こすREL構造異常を同定した3)。最近では、節外性NK/T細胞リンパ腫(ENKTL)の包括的な遺伝子解析によりX染色体に関連する4個の遺伝子、特にMSN遺伝子に機能喪失型異常が集積することや4)、再発・難治性の多発性骨髄腫の循環腫瘍DNA解析により、骨髄形質細胞と循環腫瘍DNAで変異プロファイルが異なり、循環腫瘍DNAで検出されるKRASやTP53変異の予後予測能が優れていること5)などを明らかにしている。本講演では、我々の最新の研究成果を中心に成熟リンパ系腫瘍におけるゲノム異常について概説する。9. 成熟リンパ系腫瘍におけるゲノム異常の生物学的・臨床的意義の解明

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