第44回 阿蘇シンポジウム抄録集 2024
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幸谷 愛大阪大学 微生物病研究所 感染腫瘍制御分野1) Kameda, K. Yanagiya, R. Miyatake, Y. et al.: Blood, 142, 352-364, 2023.13アグレッシブNK白血病(ANKL)は、生存期間中央値2ヶ月未満と進行が極めて速く有効な治療法がない。本邦での年間発症数は20-30と推計される超希少疾患のため、病態解明、治療法開発が大きく制限されている。ANKLはほとんどがEpstein-Barr virus(EBV)陽性であり、他のEBV関連腫瘍と同様、患者はアジア地域や一部の中央・南アメリカ地域に多く、発症年齢はAYA世代と壮年期の二峰性、中央値が42才という若年層である。以上から新規治療開発は本邦における喫緊の課題である。これまでに、がん細胞と微小環境(ニッチ)の細胞間ネットワークを明らかにするためにANKLに対して異種移植モデル(PDX)マウスを構築し、従来骨髄と考えられてきたANKLのニッチが、類洞という肝臓の特殊な血管であることを明らかにした(図1、 2)。 更にPDXマウスの特徴である、腫瘍細胞はヒト、ニッチ細胞はマウス由来という種差を用いてMixed-species RNA-seqを行い、腫瘍と肝臓類洞ニッチとの相互作用に対して、全トランスクリプトームを対象としたin silico 機能的スクリーニングを用いて網羅的に解析し15の分子対を同定した。これらに対してマウス生体内CRISPRスクリーニングを行い、肝臓で強発現し多量に産生される鉄輸送たんぱくトランスフェリン(Tf)と腫瘍側トランスフェリン受容体(TfR)系の抑制が最も強力に腫瘍増殖を阻止する事を明らかにした。抗ヒトトランスフェリン抗体を投与すると劇的な治療効果が得られ、2023年4月からヒトANKL患者を対象とする臨床試験が開始されている。7. アグレッシブNK白血病の微小環境解析

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