第43回 阿蘇シンポジウム抄録集 2023
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1) Masuoka, M., et al.: J. Clin. Invest., 122:(7), 2590-2600, 2012.2) Nunomura, S., et al.: J. Invest. Dermatol., 139:(6), 1274-1283, 2019.3) Nunomura, S., et al.: J. Allergy Clin. Immunol., 148:(6), 1596-1602, 2021.4) Nanri, Y., et al.: Am. J. Respir. Cell Mol. Biol., 62:(2), 204-216, 2020.5) Nunomura, S., et al.: Cell Rep., 42:(1), 111933, 2023.出原 賢治佐賀大学 医学部 分子生命科学講座分子医化学分野8. アトピー性皮膚炎における痒みの機序と創薬の試みアトピー性皮膚炎における起痒機序については、2型免疫反応を背景とした免疫機能と痒みを引き起こす神経機能との連関を基盤として、近年その解明が進んでいる。アトピー性皮膚炎の病変部位において産生されたIL-31を始めとするメディエーターが、知覚神経上の受容体に結合し、カルシウムチャネルであるTRPA1やTRIPV1を活性化することにより、痒みシグナルが伝達されると考えられている。我々は、マトリセルラータンパク質の一つであるペリオスチンが、アトピー性皮膚炎の発症機序において重要な役割を果たしていることを、以前明らかにした1)。しかし、ペリオスチンと痒みとの関係は明らかではなく、また、ペリオスチンに対する適切な阻害剤も見つかっていなかった。我々は、Ikk2の遺伝子改変マウスが、激しい痒み行動を伴う新規のアトピー性皮膚炎モデルマウスとなることを見出し、FADSマウスと名付けた2),3)。また、製薬会社がαvβ3インテグリン阻害剤として開発したCP4715が、ペリオスチン阻害剤となることを見出した4)。今回、FADSマウスとCP4715を用いて、アトピー性皮膚炎におけるペリオスチンの痒みにおける役割について解析を行った5)。ペリオスチンが欠損したFADSマウスでは、湿疹やNF-κB関連の炎症が軽快し、CP4715にも同様の効果が認められた。さらに、ペリオスチン欠損FADSマウスでは、痒みが著明に減少するととともに、CP4715投与により速やかに神経発火と引っ掻き行動が改善され、ペリオスチンは直接知覚神経に作用して、痒みを引き起こしていると考えられた。以上より、ペリオスチン/インテグリン経路が、アトピー性皮膚炎における新規の起痒経路であるとともに、インテグリン阻害剤が痒みに対する創薬となる可能性を持つことを明らかにした。本セミナーでは、我々の知見を中心に、アトピー性皮膚炎における痒みの機序と創薬の試みについてお話ししたい。15

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