第43回 阿蘇シンポジウム抄録集 2023
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茂呂 和世大阪大学 大学院医学系研究科 生体防御学教室/RIKEN-IMS 自然免疫システム研究チーム5. 2型自然リンパ球による疾患発症機構2型自然リンパ球(Group 2 innate lymphoid cells:ILC2)は、寄生虫感染時に上皮細胞から産生されるIL-33によって活性化し、ILC2はIL-2、IL-5、IL-6、IL-9、IL-13、GM-CSFなどの2型サイトカインを産生することで、寄生虫感染に対して好酸球浸潤や粘液産生など急速な防御反応を示す。一方で寄生虫感染がほとんど見られなくなった先進国では、アレルゲンの持つプロテアーゼ活性によって死んだ上皮細胞が放出するIL-33がILC2を活性化し、寄生虫感染時同様2型サイトカインを産生する事でアレルギー症状を悪化させる。ILC2に関するアレルギーの研究は、皮膚、呼吸器、消化器領域で行われているが、呼吸器領域では特に解析が進んでおり、気管支喘息、なかでも好酸球性喘息におけるILC2の役割は理解が進んでいる。消化器のILC2は他の臓器と異なりIL-33よりもIL-25依存性が高い。この特性が理解されるまでに時間がかかったためか、腸管のILC2の役割に関する報告は肺に比べ圧倒的に少ない。我々は20歳までに虫垂切除術を受けると、生涯における潰瘍性大腸炎の発症リスクが低いというコホート研究に着目し、虫垂を切除したマウスモデル(APX)を用いて解析を行った。その結果、ILC2をIL-25を介して活性化するタフト細胞がAPXにより増加し、大腸でのILC2の集積と2型サイトカイン産生を誘導することにより、IL-1βをはじめとする炎症性サイトカインの産生を減弱させることを見出した。APXマウスでは腸管微生物叢の変化起こることがその背景として示唆されている。これらの結果は、細菌叢-タフト細胞-ILC2を介した経路を創薬ターゲットとすることで、潰瘍性大腸炎の予防、治療が可能になることを期待させる。9

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