第41回 阿蘇シンポジウム抄録集 2021
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高田 礼人北海道大学 人獣共通感染症国際共同研究所エボラおよびマールブルグウイルスは、発見当初からしばらくの間アフリカ特有の病原体であると考えられていた。しかし現在は、これらのウイルスによる感染症の発生報告が無い地域の動物から抗体やウイルスが検出されていることや、ヨーロッパやアジアにおいてもフィロウイルス科に属するウイルスの存在が確認されていることから、未知のウイルスも含めて様々なフィロウイルスがアフリカ以外にも広範囲に分布することが示唆されている。一方で、エボラおよびマールブルグウイルスによる感染症(エボラ出血熱およびマールブルグ病)の発生は散発的にアフリカ諸国で報告され続けている。西アフリカ諸国(2013-2016年)およびコンゴ民主共和国(2018-2020年)で発生した大規模なエボラ出血熱流行の際に、本感染症の予防・治療・診断法の研究開発が加速したことによって様々な臨床試験が進められ、そのうちの幾つかはエボラウイルスに対するワクチンや治療薬として承認されるに至っている。本講演では、私たちの研究グループで行ってきた研究内容を含め、エボラおよびマールブルグウイルスに関する研究の現状を紹介したい。2312. エボラおよびマールブルグウイルス研究の現状と展望

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