第41回 阿蘇シンポジウム抄録集 2021
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鈴木 忠樹国立感染症研究所 感染病理部1)Wada,Y.,Miyamoto,S.,Iida,S.,Sano,K.,Sato,Y.,Ainai,A.,Saito,K.,Katano,H.,Hasegawa,H.andSuzuki,T.:PropagationofactivatedBcellsbyinvitroSFTSVinfectionofhumanperipheralbloodmononuclearcells.JInfectDis.,2021.inpress.2)Tsukamoto,T.,Nakajima,N.,Sakurai,A.,Nakajima,M.,Sakurai,E.,Sato,Y.,Takahashi,K.,Kanno,T.,Kataoka,M.,Katano,H.,Iwata,M.,Doi,Y.andSuzuki,T.:LungPathologyofMutuallyExclusiveCo-infectionwithSARS-CoV-2andStreptococcuspneumoniae.EmergInfectDis.,27:(3),919-923,2021.3)Adachi,T.,Chong,J.M.,Nakajima,N.,Sano,M.,Yamazaki,J.,Miyamoto,I.,Nishioka,H.,Akita,H.,Sato,Y.,Kataoka,M.,Katano,H.,Tobiume,M.,Sekizuka,T.,Itokawa,K.,Kuroda,M.andSuzuki,T.:ClinicopathologicandImmunohistochemicalFindingsfromAutopsyofPatientwithCOVID-19,Japan.EmergInfectDis.,26:(9),2157-2161,2020.4)Suzuki,T.,Sato,Y.,Sano,K.etal.:SeverefeverwiththrombocytopeniasyndromevirustargetsBcellsinlethalhumaninfections.JClinInvest.,130:(2),799-812,2020.5)Takahashi,T.,Maeda,K.,Suzuki,T.etal.:TheFirstIdentificationandRetrospectiveStudyofSevereFeverwithThrombocytopeniaSyndromeinJapan.JInfectDis.,209:(6),816-827,2014.ウイルス感染症の病理学研究は、「疾病とウイルスの関係性を明らかにする」ことと、「ウイルス感染により疾病が発生する機構を明らかにする」研究に大別される。前者はウイルス感染症という病気の病因(etiology)に焦点を当てる研究であり、後者はウイルス感染症の発生機序(pathogenesis)に焦点を当てる研究であるが、いずれにしても、ウイルスという病原体ではなくウイルス感染の結果として発生する病気に興味の主座があることが、ウイルス感染症の病理学研究の最大の特徴である。よって、ウイルスそのものの性質を理解しようとするウイルス学的な研究とは、対象が同じであっても興味のベクトルが異なっており、研究対象へのアプローチも独特である。現在、我々の研究室では「感染症の病理」を標榜してウイルスに限らず様々な病原体を対象に病理学研究を進めているが、これらの中で最も重要視していることは、感染症患者の組織検体などの臨床検体を出発点としたアプローチである。臨床検体は、実験室内でコントロールされたウイルスや細胞、動物とは異なり、背景が均一ではなく、解析結果を読み解くことも簡単ではない。しかし、臨床検体の中で観察される事象は、それがどんなに稀有なことであっても実際に患者体内で起こっている紛れもない真実であり、それを正確に読み解くことこそが疾病の病因と発生機序解明を目指す病理学研究の根幹となる。本講演では、新興ウイルス感染症である重症熱性血小板症候群やCOVID-19について最近の我々の病理学研究成果を紹介するとともに、これらの新興感染症の感染症対策において我々が果たしてきた貢献と感染症対策における病理学の役割についても紹介したい。1910. 新興ウイルス感染症の病理学研究

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