第40回 阿蘇シンポジウム抄録集 2019
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■■■■■京都大学 大学院医学研究科 医化学分野10. RNA分解による感染防御応答の新規制御機構RNA分解は、病原体感染に対する免疫応答において重要な役割を果たしている。まず、免疫細胞では、サイトカインなど炎症関連分子をコードするmRNAが、3’ 非翻訳領域に存在する配列を認識する機構により分解され、その量を適切に制御することで、迅速な免疫応答の惹起と過剰な免疫細胞活性化の抑制を両立している。我々の同定したRegnase-1は、自然免疫細胞、および獲得免疫細胞において、インターロイキン6を始めとした免疫応答に関連した分子のmRNAを分解する酵素として機能し、免疫系の恒常性維持に必須の分子である1), 3), 4)。Regnase-1は、mRNA 3’非翻訳領域のステムループ構造を認識し、蛋白質翻訳に依存して分解する新たなmRNA分解機構として機能している2)。最近では、ウイルスなど外来RNAを標的として機能するRNA分解酵素が存在することも明らかとなってきた。我々は、HIV-1の感染を制御する宿主RNA結合蛋白質をスクリーニングし、N4BP1タンパク質がT細胞やマクロファージにおいてHIV-1感染抑制に重要な役割を果たしていることを見出した5)。N4BP1はHIV-1ウイルスmRNAに結合し、これを分解する酵素活性を持つ。また、T細胞活性化の過程で、N4BP1がMALT1タンパク質分解酵素により切断を受け機能が不活化されること、この制御が、HIV-1潜伏感染細胞からの再活性化に寄与していることが明らかとなった。本講演では、RNA分解酵素群であるRegnase-1やN4BP1の機能に焦点を当てて議論したい。1) Matsushita, K., Takeuchi, O. et al.: Nature, ■■■:(7242), 1185-1190, 2009. 2) Mino, T. et al.: Cell, ■■■:(5), 1058-1073, 2015.3) Yoshinaga, M. et al.: Cell Reports, ■■:(8), 1614-1630, 2017.4) Takeuchi, O.: Wiley Interdiscip. Rev. RNA, ■:(1), 2018.5) Yamasoba, D. et al.: Nature Microbiol., May 27. doi: 10.1038/s41564-019-0460-3. 2019.19

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