■■■■■東京医科大学 医学総合研究所 分子細胞治療研究部門9. 体液診断の最前線とエクソソーム創薬世界に類を見ないスピードで我が国は高齢化社会へと突入した。これに加えて、いま2人にひとりが「がん」に罹患する時代を迎えている。こうした状況のもとで、増え続ける莫大な国民医療費は2025年には56兆円を超えるとの予想がなされて以来、これに対応するための様々な取り組みが国や民間レベルで行われている。しかし人間の寿命が100歳をも目指す時代もそう遠い未来でもなくなる現在、健康寿命を延ばすスマートライフケアの需要は益々増えることになる。「未病」という言葉が流行しているものの、健康なのか病(やまい)の一歩手前の未病なのかを正確に判定する指標がない現状では、未病社会の実現を掲げたとしても、それは砂上の楼閣たるにすぎないのである。本講演では、国の大型プロジェクトである血液1滴で早期のがんを発見する夢の診断方法の研究の最前線をご紹介するとともに、国民が自ら病の一歩手前の未病の状態を察知して未病から健康の状態に戻るためには、日常的な未病のサインをどのように監視したら良いのかなど、の最新の知見を紹介する。さらに、現在、世界中で注目を浴びる直径100ナノメートルの細胞外小胞であるエクソソームに関する最新の情報を提供したい。1) Kamiya, A.: Nat Neurosci., in press.2) Asano, N.: Nat Commun., ■■:(1), 1299, 2019.3) Ageta, H. et al.: Nat Commun., ■:(1), 3936, 2018.4) Yokoi, A. et al.: Nat Commun., ■: 14470, 2017.5) Kosaka, N. et al.: J Clin Invest., ■■■:(4), 1163-1172, 2017. 6) Tominaga, N. et al.: Nat Commun., ■: 6716, 2015.7) Ono, M. et al.: Sci Signal., ■: ra63, 2014. 8) Yoshioka, Y. et al.: Nat Commun., ■: 3591, 2014.17
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